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2018/10/22 No.405代替案は「自由で開かれたインド太平洋構想」~一帯一路構想への米国の見方~

石川幸一
亜細亜大学アジア研究所 教授

はじめに

一帯一路は米国ではどのようにみられているのだろうか。

米国政府の公式見解は出されていないし、米国内の見方が報じられることもほとんどない。しかし、専門家や関係者の間では一帯一路について真剣な議論が交わされている。2018年1月25日に米国議会の「米国中国経済安全保障調査委員会」が「中国の一帯一路イニシアチブ-5年後」というテーマで公聴会を開催し専門家が証言を行った(注1)。本稿では、その中の経済分野の専門家の証言により経済分野での米国の一帯一路への見方を紹介する(注2)。証言を行ったのは、National Bureau Asian Researchのナデゲ・ロランド(Nadege Rolland) 上級研究員、CSIS(戦略国際関係研究所)のジョナサン・ヒルマン(Jonathan Hillman) 氏、CIAの元在中国代表であり在中米国商業会議所の副会頭だったMintz Groupのランダル・フィリプス(Randal Phillips)氏である。本論で紹介されているのは3氏の見解および公聴会での議論であり、筆者の意見ではない。

1. 一帯一路をどうとらえるか

(一帯一路の本質は何か)

「一帯一路とは何か」についての米国での見解は日本とほぼ同様であるが、日本との最大の違いは、「中国は米国主導で構築されてきた国際経済秩序に代わり、中国が中心となる国際経済秩序を作ろうとしており、一帯一路がその大戦略(グランド・ストラテジー)である」という認識が共通していることである。

ロランド上級研究員は、一帯一路は中国の経済状況と安全保障環境を改善し、民族の偉大な復興という中国の夢を実現し、グローバルな大国として台頭するための大戦略とみており、一帯一路により地域の情勢(landscape)が変化すると論じている。ヒルマン氏は、米国が作り上げ中心を占めていたオープンな貿易金融システムなどのグローバルシステムを一帯一路により中国の利益を反映するようなシステムに変える可能性を指摘している。サプライチェーンが変わり、人民元が広く使われるようになり、中国の技術基準が高速鉄道から無線ネットワークにまで使用されるようになる。環境や社会安全基準にも中国の意向が反映する。米国は現在のグローバル経済の中心的な位置から外されて行き、中国が中心を占める可能性があると述べている。フィリプス氏は、「中華民族の偉大な復興」は習近平の最重要課題であり、一帯一路(Belt and Road Initiative: BRI)はそのための理想的な基盤となるとみている。

(一帯一路構想の背景と特徴)

一帯一路構想が打ち出された背景、理由については、フィリプス氏は次のように説明している。①米国のアジア重視政策への転換(pivot to Asia)とその経済面の中核であるTPP(環太平洋経済連携協定)に対しての代替策を打ち出す必要があった。②国内の過剰生産能力への供給サイドでの対応と膨大な外貨準備の活用が必要と認識があった、③中華民族の偉大な復興のための理想的な基盤であり、規模と野心でマーシャル・プランを上回り、途上国地域の巨大なインフラ需要から反対が難しい、④海のシルクロードによりエネルギー供給を多角化しマラッカ・ジレンマというリスクを軽減できる、⑤中国の西部開発に役立つ。

一帯一路の特徴についての3氏の証言を総合すると次の5点があげられる。①極めて地理的および対象分野が壮大であることが指摘されている。世界の人口の3分の2を占める広大な地域を対象とし、インフラプロジェクトだけでなく、政治、経済、金融面の協力と統合を中国主導で行う。次に、②一帯一路は経済開発だけでなく、社会的安定、中国の周辺地域の安定、エネルギー安全保障、政治的影響力と戦略的な拡大を目指す重層的なプロジェクトである。③一帯一路は、内容が明らかになり始めたばかりであり、公式に発表された地図もプロジェクトリストもない。2013年以前の古いプロジェクトも含まれている。④一帯一路は「習近平プロジェクト」であり、共産党憲章に書き込まれた長期的な目標となっている。中国は成功に向けて、政治、外交、金融、経済、知的などのあらゆる資源を動員している。第13次5か年計画、中国製造2025、インターネット・プラス戦略など中国の主要な経済開発計画は、全て一帯一路と連携し統合されている。⑤一帯一路の実施は極めて柔軟である。中国はどのような外国政府とも協力しており、参加国には紛争が起きているシリアとイエメンが含まれている。環境の保護などについては、緩やかな条件で協力を行う。支払い条件についても柔軟であり、天然資源での返済も受け入れ、返済ができない場合は出資に切り替えることがある。

2. 一帯一路の目的および効果は何か

一帯一路の究極の目的は、中国が中心となる国際経済秩序を構築し米国に取って代わることであるが、短期中長期の目的と効果も数多く論じられている。ロランド上級研究員は、一帯一路構想は、中国国外では地域全体の利益を目指すと説明されているが、中国国内では経済と戦略両面で中国の利益と目的に資するプロジェクトとして議論されていると指摘している。

経済政策面では、一帯一路は新しい景気刺激策である。世界金融危機時の4兆元の投資は短期的な効果しかなかったため、2010年から2020年でGDPと一人当たり所得を2倍にする目標の実現に向けての戦略が必要だった。国内消費と民間のイニシアチブによる成長という経済発展モデルの転換は政治的コストが受容できない水準に達する恐れがあり、投資と輸出による景気刺激と国有企業への補助金という従来型モデルを再び利用することになった。

次に、2008年の刺激策で生まれた過剰生産能力の解消は共通して指摘されている。海外でのインフラプロジェクトは、中国の建設関係資材などの輸出を増加させており、たとえば、中国のパキスタンへの輸出は2012年から2015年の間に77%増加した。中国の鉄鋼、セメントなどの建設資材生産者は利益を得るとともに鉄鋼、セメントなどの過剰生産能力の解消に役立っている。ただし、一帯一路だけでは過剰生産能力の解消には不十分であるとも指摘されている。

さらに、中国の政策銀行の融資と中国人労働者の動員によりインフラ建設が中国国有企業の得意分野となり、新しいマーケットを獲得し、グローバルな規模の事業展開を行えるようになることも期待されている。電子商取引と越境人民元取引を増加させ、人民元の国際化に寄与できる。内陸部と沿海部の国内格差の縮小にも寄与し、社会不安と政治的不安定を減らし、宗教面での原理主義の浸透やテロリストのリクルートを抑制できるなども一帯一路の効果である。

一帯一路がエネルギー安全保障に役立つことは共通して指摘されている。中国は、マラッカ・ジレンマに対処するために、マラッカを迂回できる代替ルートおよび陸上ルートによる供給の多様化を求めてきており、パキスタンおよびミャンマーからの陸上パイプラインおよびユーラシアの陸路による輸送により、南シナ海を迂回し、紛争時に米軍による海上封鎖による供給の途絶のリスクを減らすことができる。

地政学的な効果の重要性は共通した認識となっている。一帯一路は経済と戦略の境界があいまいであり、経済力を戦略的な目的のために利用できる。つまり中国への支持を獲得し、抵抗を減らし、反抗的な国を罰するインセンティブとして利用できる。中国は、民主主義が弱く権威主義的な体制が優位で米国の影響力の弱い広大な地域で影響力を増し、友好国を増やすことができる。グローバライゼーションへの不満が増加している国では、中国モデルが魅力を増している。習主席は、第19回共産党大会で独立を維持しながら発展を加速したい国にとって中国モデルが新たな選択肢であると述べている。

3. 一帯一路の課題

一帯一路に関して問題が発生し、多くの課題があることは3氏とも指摘している。まず、一帯一路に限らず、大規模インフラ工事がスケジュール、予算通り行われ、期待されたリターンをもたらすことは稀であることを認識する必要がある。次に、一帯一路の問題として、中国人労働者の流入、融資条件、環境問題などがすでに起きている。プロジェクトの結果が失望だと中国は名声リスク(reputation risk)に直面する恐れがあることが指摘されている。

(中国の労働者、資産の安全リスク)

パキスタンやアフリカでは中国人労働者が殺害され誘拐されるという安全リスクがある。こうした問題が起きる理由の一つは、中国のリスク管理は欧米と異なるためである。欧米はプロジェクトがスタートする前にリスク管理について多くの対応を準備しておくために時間がかかるが、まずスタートしリスクが発生したら対処するというのが中国方式であると指摘されている。リスクは国により非常に異なっており、パキスタンの安全リスクは、東欧でのリスクと全く異なる。リスクを総論的に語るのは難しく、国ベースでみるべきである。安全管理については、中国は内政不干渉政策に縛られているという指摘もあった。対応策は、パキスタンやエチオピアでのように、相手国の軍隊などに資産と自国民の安全管理を任すことである。また、民間セキュリティ企業(中国の)が重要になってきている。海外で自国民の安全管理を行うブラックウォーター社のような会社に中国の政府関係者は強い関心を持っており、国営企業、民間企業がそうした企業を作ろうと海外企業にアプローチをしてきている。

(地場労働者の雇用)

一帯一路プロジェクトでは、中国人労働者を連れて行くため地場労働者の雇用に貢献しないという批判は共通した意見である。ロランド上級研究員によると中国はこうした批判に耳を閉じているわけではなく、事態を改善しようとしている。中国は相手国労働者の雇用を増やそうという意思はある。相手国の雇用に貢献しないと政治的なリスクがあることを認識しているためだ。また、腐敗を理由として、中国側が融資を中止する例がパキスタンを含め起きている。こうした改善・是正の措置が実施されている。一帯一路は、試行・実験・学習の段階であり、国営企業からのボトムアップ・アプローチがなされ、労働者のよい行動の基準の導入、相手国労働者の雇用などにも努めていることがロランド上級研究員により指摘されている。

(債務の増加)

債務の増加も重要な問題として共通して指摘されており、一帯一路には「債務」という地雷が埋められているとの意見が述べられている。ヒルマン氏によると、中国は2000年から2014年の間に3540億ドルの融資を行い、輸送と電力が最大の融資セクターであった。中国の公的なローンの4分の3は、商業ローン(commercial terms)であり、国際金融機関から借り入れる場合の優遇金利による融資より、金利が高い。これは、他の金融機関が融資をしようとしないようなリスクの高いプロジェクトへの融資だからである。このことを考慮するべきであり、批判するだけでなく米国および同盟国などが一帯一路の対象となっている途上国に対しよりよい代替案を提案する必要がある。

4. 米国企業は利益を得ることができるか

ヒルマン氏は、一帯一路の大きな課題は国際的な開放性(openness)の低さと述べている。CSIS(米国の国際戦略問題研究所)の2200社をカバーする中国が資金を出した交通プロジェクトのデータベースによると、89%のプロジェクトは中国企業が受注しており、7%が相手国企業、外資は3%に過ぎない。その意味で一帯一路は中国中心(Chinese-centric)なプロジェクトである。

ヒルマン氏は、米国企業に一帯一路プロジェクトへのビジネス機会を与えるべきであると主張している。現在まで、中国企業と合弁を行う形で米国企業が一帯一路プロジェクトに参加しており、ヒューレット・パッカードのように中国と欧州の直行貨物便を利用している企業もある。しかし、ヒルマン氏によると、米国など西側企業の一帯一路プロジェクトへの参加は、次の3つの障害があり極めて限られている。

  1. 一帯一路関連プロジェクトの具体的な情報入手が困難。とくに入札を行うプロジェクトの初期の情報の入手が困難。
  2. 競争環境が不平等。中国企業は、契約を獲得するうえで有利である。国営企業は補助金を得ており、融資は中国企業を入札者とする条件がついている。
  3. 競争がオープンで公正であってもリスクが多い。中国企業とのパートナーシップは知的所有権を盗まれるリスクがある。受入国の選挙、腐敗、複雑な土地の権利、その他の政治および法的なリスクはプロジェクトの実現可能性を危うくする。インフラプロジェクトの資本集約的な特性、長期間の返済期間、途上国が長期にわたり直面する問題から、資金調達リスクがある。プロジェクトが完成しても需要の少なさ、運用上の問題がある。

競争環境が不平等なことはフィリプス氏も強調している。一帯一路プロジェクトは、中国企業を優遇し主導的な役割を果たさせるアファーマティブ・アクション的な政策であるため、中国企業と平等に競争できる条件はない(注3)。外国企業の参加機会はサポーティングアクターとして参加することである。北京や上海の外資企業が参加の例をみると、中国企業の下請け(サブコントラクター)として、とくに保険、コンサルティング、ロジスティクス、技術サービス提供などの分野で役割を果たすことができる。

中国企業はプロジェクトを実施するための知識や経験に欠けていることを認識しているため、そうした分野で外資企業を下請けとして使わざるを得ない。フィリプス氏によると、このことは外資企業にとって悪いことではない。なぜなら、これまでの一帯一路プロジェクトの圧倒的多数はハイリスク・ローリターンだからだ。一帯一路では、収益率よりも政治的外交的利益が重要である。

5. 一帯一路の評価

一帯一路の評価は、経済的な評価だけではなく政治的あるいは戦略的な観点での評価が必要なことは共通して論じられている。すなわち、具体的な物的な成果よりも目に見えない部分が重要であり、鉄道のマイル数、鉄鋼輸出量などで測るのではなく、世界の重要な地域への中国の影響力と支配力の増加やソフトパワーの拡大で判断すべきである。なぜなら、中国はグローバルパワーとしてのイメージを強化するだけでなく、世界の人口の3分の2を占める地域と政治、経済、教育、産業、安全保障上の多層のネットワークを構築し、将来のユーラシアの経済および地政学的な構図を形作る種をまいているからだ。

政治的には中国はすでに一帯一路のメリットを受けている。620億ドルの一帯一路関連投資が行われたパキスタンとの関係は一層緊密化した。フィリピンとカンボジアを含む国々は米国との軍事および外交関係を見直すのに一帯一路が役立っている。中東欧では、16+1枠組みができ、関係が強化されている。一帯一路はすでに政治的配当をもたらしている。

このように、一帯一路は短期的にみれば政治的に成功しているが、長期的にかつ経済的に成功するかはプロジェクトの成否にかかっている。全ての一帯一路プロジェクトがうまく進んでいるわけではなく、期待と利益(効果)のギャップが生じている。失敗した場合、途上国の債務負担が極めて大きくなる。多くの一帯一路プロジェクト受入国は高いGDP成長が維持されて、借り入れを返済できるのであり、過ちや想定外の出来事は許されない野心的な計画を立てている。

ヒルマン氏は、輸送インフラは、2つの用途(dual-use)があることを指摘している。民間利用と軍事利用であり、物品を市場に輸送するとともに軍を戦いに輸送することができる。この点は、単純に経済的な収益だけで評価できない重要な理由である。一帯一路の影響や効果は政治と経済を分けることは難しいし、短期と長期では反対の影響がありうる。一帯一路の評価では、継続的な一貫した調査と分析が正確な回答を出す上に重要である。

6.注目すべき論点

(TPPの重要性)

一帯一路に戦略的に対応する点でTPP(環太平洋経済連携協定)が重要かつ有効なことが公聴会で強調されている。一帯一路はTPPへの対抗策として打ち出されているからだ。中国の指導者が憂慮していたのは米国のアジア重視政策(リバランス政策)への対抗措置であり、TPPはリバランスの重要な構成要素(経済面の)であった。中国はTPPの重要性を認識していた。TPPは中国を除外する形で世界経済の4割を占める巨大な統合市場を創出し、高いレベルのルールで運営されるため、中国にその行動を修正させる効果があった。TPPからの離脱は、中国が変わる機会を逃すことであり、その代償を払わねばならない。一帯一路にはFTAが含まれているが、中国が取り組んでいるのは2国間FTAであり、一帯一路地域全体の広域FTAは不可能である。一帯一路のFTAは大きな市場を創出しないし、TPPのようにルールを作ることはない。

(中国のデジタル戦略)

ロランド上級研究員は、ユーラシアのランドブリッジについては鉄道にのみ注目すべきではない。パイプラインと光ファイバー(fiber optic)ネットワークがあり、極めて重要である。極めて広範な地域のインターネットをコントロールすることができれば、極めて優位に立てると主張している。

ロランド上級研究員によると、2015年3月に発表された中国のインターネット・プラス戦略は、モービル・インターネット、クラウド・コンピューター、ビッグデータ、IOTなどのハイテクデジタル技術の強化を目的にしているが、「シルクロード・サイバースペース・ビジョン」による一帯一路沿線国の電子商取引、デジタルエコノミー、スマートシティ、科学技術園(サイエンス・テクノロジー・パーク)への支援と重なっている。シルクロード・サイバースペースは、光ファイバーケーブルなどITネットワークの構築により、一帯一路関係国間の電子商取引やサイバーカルチャーの交流を目指している。2017年3月の「サイバースペースにおける協力の国際戦略」では、国内のインターネット企業のグローバル進出、とくに一帯一路沿線国での国際市場の開拓、越境ネットワーク、人材育成協力を行うことを推進するとしている。

(中国規格の普及)

規格の重要性も議論されている。中国は、その巨大なマーケットのパワーで多くの企業に自国の規格を受け入れさせてきている。中国は一帯一路によりそのマーケット・パワーを拡大させてきており、ハイテク分野も同様である。中国は中国市場へのアクセスに際して技術移転を強制してきたが、一帯一路により技術移転の強制が進んでいる。

(将来を見据えた人的な影響力の醸成)

中国は、一帯一路対象国の学生数万人に中国に留学するための奨学金を提供している。一帯一路の5つの柱の一つは人と人の交流である。単に中国語を学習させるだけでなく、対象国の政治的軍事的エリート、将来のリーダーが中国への理解を深めるためであり、将来のリーダーを見据えた投資である。

7.米国は何をなすべきか:重要な「自由で開かれたインド太平洋構想」

共通しているのは、まず一帯一路についての認識を持つ(目を開く)こと、次に良い代替案を提示することだ。一帯一路が途上国にとり非常に魅力があるのは、経済開発が最も重要である途上国に対する積極的な開発ビジョンを提供しているからである。米国のアジアにおけるポジションはかなり弱くなっている。TPP離脱はアジア無視の現れであり、無関心はビジョンの欠如に示されている。米国は途上国に対し積極的な開発ビジョンを提供すべきと論じられている。

代替案としての「自由で開かれたインド太平洋」構想を3氏とも高く評価している。重要なことは、実現・実施(operationalize)であり、ランダル氏は「質の高いインフラ」の原則と基準を提案することを行政府に求めている。「質の高いインフラ」の重要性は認識されているが何が質の高いインフラなのかはいくつか定義がある。インフラ投資の基準と原則を確立すべきであり、基準は、調達、環境および社会安全基準、債務の持続可能性についても対象にすべきである。資金供与については、国際開発銀行での米国のリーダーシップが重要だ。米国の開発関係機関では、業務の効率化(簡素化)と提携が重要である。米国の目標は、マーシャル・プランのように連邦政府の資金を投入することではない。米国と関係国は、政府の支援により民間投資を拡大すべきである。

米国だけではその能力は不十分であり、欧州とアジアの同盟国と連携・協力すべきである。インドと日本は代替案の提供を始めている。中国一か国ではアジアのインフラ需要を満たすことはできないため、世界銀行、ADBなど国際開発金融機関が基準を作り、代替案を提供する上で重要である。また、パートナー、同盟国およびG20などを通じて協力していくべきであることが提言されている。

1. United States-China Economic and Security Review Commission, ‘Hearing on China’s Belt and Road Initiative: Five Years Later’, January 25, 2018

2. 本稿は公聴会での証言と議論の逐語訳ではなく、概略を紹介するものであり、正確かつ詳細な内容については公聴会記録を参照願う。

3. アファーマティブ・アクションは、積極的優遇(差別是正)措置と訳されており、差別を受け経済的社会的不利益を被ってきたグループを教育や雇用などで優遇する措置である。

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