フラッシュ330
2017年3月28日
 

踊り場のメコン経済…現状と展望(14)
マンダレーの地場企業の課題
~Shwe Myanmar Tea Leaf Factory 、Sein and Mya Mattress Industryのケース~

 
Aung Kyaw
モンユワ経済大学商学部 教授

Nu Nu Lwin
ヤンゴン経済大学経営学部 教授

 

今回は、マンダレーの地場企業Shwe Myanmar Tea Leaf Factory (茶)とSein and Mya Mattress Industry(マットレス)。
(取りまとめは大木博巳ITI事務局長兼研究主幹。調査は公益財団法人JKAの補助を受けて実施した。)

1.Shwe Myanmar Tea Leaf Factory(茶葉)

Shwe Myanmar Tea Leaf Factoryはマンダレー工業団地の22番通りと89番通りの角にある。2005年創業。オーナーはシャン族と中国系の混血で、物理学の学位を取得している30代半ばの人物である。100%国内資本の非公開企業で社員数は28名(3年前は18名)。2015年の売上高は前年比4%増加した。同社は3年で売り上げを最大、64%伸ばす力がある。同社の昨年の茶葉の生産量は242トンで、過去3年で20%増加した。昨年の利益は5,000万ミャンマー・チャットと、こちらも3年前と比べて20%増加した。

同社の製品は茶とコーヒーで、茶が全生産量の97%、コーヒーが3%を占める。主要製造工程は、乾燥とカッティングである。同社にとって最大の機械は茶葉の乾燥機である。主要顧客は国内消費者で、製品は卸と小売の流通チャネルを通じ、トラックを使って全国に配送される。

同社の主な仕入先はシャン州で茶樹を栽培する農家である。茶葉は、シャン州の茶樹栽培地域の購買センターを通じて調達する。一般に仕入先とは良好な協力関係にある。今のところ業界団体には所属していない。

社員は製造工程の労働者が7名、そのうち2名が熟練工、残りが非熟練工である。またマネージャーは2名、テクニシャンが1名、製造工程以外の労働者が10名等となっており、これらがマーケティング、財務、人事、事務などの業務にあたっている。

課題

同業他社対比で見た同社の競争力は平均的である。将来的にASEAN域内で競争力のある企業になれると思われるが、同社は多くの外的課題に直面している。具体的には国内の競争、重い税金、関税、その他手数料、不十分なインフラ(電力供給)、厳しい規制などである。市場の拡大につながるAECは自社にプラスだと同社は考えている。

社内的にも多くの制約がある。具体的には、製品や製造設備の開発部門がないことである。その他、原価と配送コストの管理、労使関係、人材の技能開発、資金調達など成長するために解決しなければならないことが多くある。

こうした課題はあるものの、同社は最近、工場拡張に向けた新規投資を行い、製法を一新した。将来的には製品について品質の国際認証を得たい意向である。研究開発部門はなく、外国からの技術支援で製品の品質を向上させたいと考えている。

オーナーは、事業を拡張したいが社員の教育レベルが不十分だと考えている。とはいえ社員の忠誠度は高く、離職率は年間3%に過ぎない。平均勤続年数は7.5年。空いたポジションには社内からの昇格制度で対応し、社員の技能と教育レベルを評価した上でこれを行っている。

社員の研修・訓練は主に職場で行われている。研修・訓練の主眼は、どうやって製造現場の労働者の力で製品の品質を上げるかに置かれている。将来的にはマネージャーや他の社員向けの研修・訓練も計画されている。

2.Sein and Mya Mattress Industry(マットレス)

1994年に設立されたSein and Mya Industry Co.,Ltd は、ミャンマーにおけるマットレス製造・卸の最大手の一角を占めている。

社員数は180名。工場はマンダレー工業団地にある。38名の工場労働者が働いている。比較的ローエンドの自社ブランドのマットレスはマンダレーの自社工場で製造している。

過去3年に売り上げは年率30%で成長した。しかし、テイン・セイン前政権当時に計画されたホテル・プロジェクトの大半が完工し、新政権下ではネピドーでの投資は減少したため、2016年は減収となった。700万人が住むヤンゴンは最大の市場で、200万人が住むマンダレーは第二の市場である。マーケティング・チームは法人向け市場より消費者向け市場に注力するようになっている。

2012年にスプリング(バネ式)マットレスの工場が操業開始し、「2014年中規模企業優秀製品賞」をミャンマーの大統領から授与された。主力製品は、スプリングマットレス、ウレタンフォームマットレス、高反発ウレタンフォームマットレス、伝統的なカポックマットレス、ホテルマットレスなど、様々な品質のマットレスである。また、ベッドリネン、枕、ボルスター、毛布、マットレスカバー、その他付随製品といったベット周りの製品も作られている。同社は、Darling(タイ)、 Baland (米国)、Julei、 Shengyu (中国)といった企業の外国製ブランドマットレスの独占代理店でもある。

ミャンマーのマットレス市場は、国内品が全体の8割から9割を占め、残りが中国とタイからの輸入品である。輸送コストと輸入品にかかる関税のせいで、国内品の方が価格競争力はある。

工場労働者の大半が中卒か高卒である。大卒の社員は2名いる。工場長はエンジニア、12名のテクニシャンに補佐されている。テクニシャンの教育水準は高卒レベルだが、一般的に特殊技術を学ぶ専攻の出身者ではない。とはいえ、彼らは高校卒業後、他のマットレス工場で8年程度の経験を積んでいる。現場の労働者とテクニシャンは職場での技能訓練が唯一の訓練機会である。給与は経験レベルによって決まる。通常の勤務時間は1日8時間である(午前8時から午後5時まで。12時から1時まではランチ休憩)。12月から4月までが繁忙期。繁忙期は社員の残業で乗り切る。