フラッシュ426
2019年4月26日
 

2019年OECD「対日経済審査報告書」の概要

 
安部 憲明
(一財)国際貿易投資研究所 客員研究員
外務省経済局政策課企画官

 

はじめに

2019年4月14日から3日間の日程で、アンヘル・グリア経済協力開発機構(OECD)事務総長が来日した(注1)。

グリア事務総長が2005年に就任して以降、毎年春の来日は恒例となっており、本年も、安倍総理、河野外務大臣はじめ6閣僚、経団連及び連合を含む要人との会談、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)とOECD議連との懇談会などの慌ただしい日程をこなした。これらの一連の行事を通じ、日本の指導層との間で、多国間協調の強化、公平な競争条件の確保、そして、日本が本年議長を務める主要20か国・地域(G20)サミットに向けた協力で、引き続き緊密に連携していくことを確認した。また、グリア事務総長は、こうした常連のエリート層だけでなく、『福島の復興とこれからの地域づくり―震災・原発事故から8年を経て』と題したセミナーを主催するとともに、日本国際問題研究所の討論会(『変わりゆく世界経済におけるOECDの役割』)にも出席し、国民各層への情報発信、OECDの活動のビジビリティの向上を図った。さらに、訪日の目玉である「対日経済審査報告書」を公表し、アベノミクスへの評価を継続・表明するとともに、少子高齢化という人口動態の趨勢における財政の持続可能性、労働市場の改革、生産性の向上等という「待ったなし」の課題に関する包括的な政策提言を打ち出した。

本稿は、上述した訪日の成果のうち、「2019年対日経済審査報告書」(以下、「本報告書」とする)の、いわば見取図を示すことを目的とする(注2)。本報告書については、新聞等で「日本の財政健全化『消費増税で』 OECDの経済審査」などの見出しで一部報じられた(注3)。しかし、それだけでは本報告書の本質を見失い、さらにOECDの本当の意図や業績の特質を見誤る危険がある。

本稿は、本報告書の「書評」や「案内書」にも満たない「メモ」程度の内容にとどまることを予めお断りしておく。他方、報道と本報告書の間で、ただでさえ分厚い本報告書のどこに何が、どれぐらいの密度で書かれているか、といった情報の橋渡しをすることは、まったく無意味というわけでもないだろう。したがって、見取図をきっかけに関心を抱かれた項目については、実際に本文の記述に当たられ、OECDの主張や提言を裏付ける実証分析や国際比較、論理構成を正確にたどることを是非お勧めする。

1.OECD国別経済審査報告とは何か

まず、OECDが各国別に行う経済審査についての概要を紹介する。

審査の対象国の数は、現在、計42か国にのぼる。内訳は、①OECDに加盟する36か国、②加盟審査中の国(現在はコスタリカのみ)、③加盟国ではないものの協力強化の観点から各種委員会への参加条件などの点で有利な待遇を付与する「キー・パートナー」5か国(中国、インド、インドネシア、ブラジル及び南アフリカ)である。

これら各国について、マクロ経済政策と構造政策を、基本的に2年に一度審査し、それぞれの国の事情に適した一連の政策を提言するのが経済審査である。この報告書は、対象国のマクロ経済と構造改革の定期的な「総合診断書」と「処方箋」であるといってよい。

審査のプロセスについて、OECDの中では、事務局の経済総局の国別審査局が原案を作成し、経済開発検討委員会(Economic and Development Review Committee)がこれを議論・審査し、承認する(注4)。単純計算で1年間に21か国となり、2か月弱に及ぶ夏季休暇の期間を除けば、ほぼ隔週毎のペースでいずれかの国の審査を行っていることになる。よって、同委員会は、ひっきりなしに国別審査を行っているとの印象は、あながち誇張ではない。

日本については、2019年が隔年の審査年に当たり、上記プロセスを経た審査の結果は、対日経済審査報告書(「OECD Economic Surveys: Japan 2019」)に取り纏められ、グリア事務総長訪日時の4月15日に対外公表された。したがって、これまでの間は、2017年4月のグリア氏訪日時に公表されたものが最新版であった(注5)。他方、報告書が出ない「裏作」の年には、2018年を含め通常、比較的小規模の政策提言集が出されている(注6)。

2.本報告書の構成

次に報告書の内容を見てみよう。

報告書の構成は、伝統的には、各国ほぼ共通である。すなわち、前半の「マクロ経済情勢及び財政・金融政策」と後半の「構造政策」の2つの章に分かれ、後者はさらに2つの小章に枝分かれしている。枝分かれした小章は、毎回、その時々の重要課題に関するテーマが特集されるのが通例である。

ところが、本報告書は、次に説明するように3部構成ではあるもの、必ずしもこのパターンを踏襲していない。

すなわち、本報告書は、冒頭の要旨(Executive summary)に引き続き、「主要政策に関する洞察(Key Policy Insights)」として、(1)総論・マクロ情勢認識、(2)経済見通し、(3)財政・金融政策、(4)労働市場、(5)生産性向上(今回は、コーポレート・ガバナンスの改善と中小企業・起業支援に焦点を絞る)、(6)環境(特に、イノベーションを活用し、ビジネスと環境保全の好循環を図る「グリーン成長」の切り口を前面に出す)という6つのポイントを抽出する。この「洞察」部分だけで、全体の3割(50頁弱)の分量を占めるので、独立の章立て(例えば、第1章とするなど)を行わないことには違和感があるが、「洞察」はあくまでも第1章と第2章を包含する全体ナラティブの役割が与えられており、「章」と並列に扱うことは適当ではないとの判断から、このような構成をとっているものと考えられる。

その上で、本報告書は、第1章(「縮減し高齢化する人口に対処するための労働市場改革」)と第2章(「急速に高齢化する社会における財政的課題への対応」)を設ける。第1章と第2章は、各々が3割程度(40頁強)を占める骨太の分析である。これらの分析は、「洞察」部分で、ポイント(4)労働市場と(3)財政政策の小項目に、その内容がそれぞれ要約して組み込まれている。このような章立てから、「高齢化という趨勢における日本の労働市場の整備と財政健全化」(グリア氏の発表会見での発言)という政策の2本柱が、本報告書のメーンテーマということが理解される。この点を裏から述べれば、ポイント(5)及び(6)の各論述は、テーマ固有の独立章に下支えされていないので、第二義的な主題としてとらえることが適当である。以上のような本報告書の構成を示せば、別表のとおりである。

 

【別表】対日経済審査報告書(2019年)の構成

主要政策に関する洞察」で抽出された6項目とそれらの「主な結論」

 

主な要素

 

分量

(1) 総論:「成長率は高まったが、日本は長期的な課題に直面している」

アベノミクスへの評価、高齢化と高水準の政府債務という相互連関する課題

5頁

(2)経済見通し:「経済成長は緩やかなペースで継続する見通し」

2019年GDP成長率0.8%、世界経済の不確実性(貿易摩擦、中国経済の更なる減速等)

4頁

(3) 財政・金融政策:「財政の持続可能性を確保するためには詳細かつ具体的な計画が必要」

医療・介護に焦点を当てた歳出増加の抑制、消費増税による歳入増加、環境税の引上げ、個人所得税の課税ベースの拡大

財政部分6頁
(←2章「急速に高齢化する社会における財政的課題への対応」40頁)
金融部分7頁

(4) 労働市場:「雇用の障壁を取り除く」

企業が定年年齢を60歳に設定する権利の廃止、女性に関する雇用障壁の除去(労働市場の二重構造の打破等)、外国人労働者の役割の向上

5頁
(+第1章「縮減し高齢化する人口に対処するための労働市場改革」44頁)

(5) 生産性向上:「生産性の向上は、労働投入の減少の影響を相殺する上で重要」

コーポレート・ガバナンス改革を通じた設備投資増加や賃金上昇、大企業と中小企業の生産性格差の是正、起業促進

11頁

(6) 環境:「環境を改善し、気候変動を抑えることにより幸福度が向上」

再生可能エネルギーの使用拡大、炭素価格の段階的な引上げ

7頁

出典:「OECD Economic Surveys: Japan 2019」及び「OECD経済審査報告書 日本 概要 2019年4月」に基づき筆者作成。

 

このような立体構造は、冒頭の要旨や「洞察」部分に、6つ等価値で平板に分配された記述を読んだだけでは必ずしも明らかではない。最終的にこのような構成及び内容となった背景には、OECDの官僚組織に起因する各テーマを主管する部局の競争意識や、審査・編集過程における議論の紆余曲折があるものと推測されるが、現時点では情報が限られ、また、本稿の主旨から逸れることもあり、ここでは触れない。

このほか本報告書の特徴としては、一般に、OECDの報告書は、統計に基づく実証分析が生命線であるだけに、索引や図表が充実しており、本報告書も例外ではない点が指摘される。図表はメッセージが明快になるよう工夫されているため、日本国内においても、OECDの各種図表は、審議会の答申や研究機関の研究、新聞の解説記事等で頻繁に直接引用される。本報告書でも、例えば、高齢化の進行度の速さ、政府債務残高比率、中央銀行の国債保有高(対GDP比)、消費税率、就業率や賃金の男女間格差、労働生産性、後発(ジェネリック)医薬品の使用割合等における国際比較のグラフでは、日本の位置が一目瞭然に可視化されている。ただし、その雄弁さと引き換えに、各種図表は、あくまでも一定の前提条件や統計手法等の下で導かれた結果であるので、それらを慎重に検証・評価する必要がある。しかし、それと同時に、学究的な厳密さを多少犠牲にしながらも、読者一般にインパクトを伴い分かり易く提示するOECDの意図を酌んで、方法論の細部にこだわることなく、より実践的に政策立案や経営企画に活かすことの方が有益なのだ、という割り切りも重要である。

また、本報告書には、OECDの各種統計で明らかにされた「事実」(カギ括弧を付すのは、何が事実かは認定次第だからである。)と、それに対する政策提言を左右に並べる表も挿入されている。例えば、「労働力人口減少の緩和」という見出しの一項目に、女性の就業状況につき、「約半数が非正規労働者であるものの、15-64歳の女性の就業率は2012年の60.7%から2018年の69.6%へと上昇した。公的及び民間部門の指導的地位に占める女性の割合は、OECD加盟国の中で最も低い。この結果、男女の賃金格差はOECD加盟国の中で三番目に大きい25%となっている」という「事実」の認定が左欄にあり、右欄で「保育所の待機児童の解消に焦点を当て、子供を持つ女性が労働市場からの退出を余儀なくされることを無くすとともに、教育と雇用における女性差別を防止する措置を強化すべきである」という提言を並べるといった具合である。

さらに、「構造改革の進捗状況」と題された付録(Annex)においては、過去の対日経済審査における提言のうち、2017年4月以降実施された行動を対照する表も目を引く(注7)。もっとも、「これらの提言なかりせば、これらの行動は生じなかった」という意味での因果関係は証明されておらず、我田引水の感がないわけではない。

3.本報告書のポイント

本報告書の「主要政策に関する洞察」は、以上のとおり、形式として独立の章立てにはなっておらず、内容において全体の構成とは相似形ではないものの、実体上全体を総括する役割を担い、本報告書の分析及び提言の6つのポイントを抽出している。以下、順に各点の要旨を紹介する。

(1)総論:今回の景気拡大は、戦後最長。アベノミクスに支えられ、1人当たりGDP成長率は2012年から加速し、OECD平均に近づいた。他方、日本は人口の高齢化と高水準の政府債務という相互に絡み合う(inter-twined)課題に直面している。高齢人口の増大は1992年以降の社会保障経費を急増させており、社会保障の持続可能性を確保するための措置を講ずることは最優先の課題である。

(2)経済見通し:労働力不足や企業の高収益が設備投資や賃金を下支えする結果、経済成長は2020年にかけて0.75%程度で推移すると見込まれる。他方、現下の貿易摩擦は企業の見通しを悪化させ、投資やグローバル・バリュー・チェーンの攪乱要因となっており、世界経済の不確実性が見通しの重荷となっている。国内では、賃金の伸びが大きな不確実要因となっているが、民間消費を下支えするためには、基本給の上昇率の引上げが重要だ。

(3)財政の持続可能性:政府が目標とする2025年度の基礎的財政収支黒字化の実現のため、包括的な財政健全化計画と財政政策の枠組みの強化が必要である。OECDの試算によれば、2060年までに政府債務残高GDP比を150%までに低下させるためには、GDP比5%から8%程度の基礎的財政黒字を維持することが必要とされる。

歳出増加を抑制するため、医療や介護に焦点を当てることが必要である。具体的には、長期在院療養を縮減し在宅ケアへと重点を移すこと、予防的介護については効果的なプログラムに重点を置き、要介護度の低い受給者へのサービス提供の取り止め、後発(ジェネリック)医薬品を医療保険の償還基準とし、その使用を一層促進すること、行政区域を超えた形での公共サービスの共同運営やコンパクト・シティの形成を促すこと、年金支給開始年齢の65歳以上への引上げ、配偶者控除など労働参画意欲を減退させる税制や社会給付制度の歪みの除去等が有効である。

歳入増加は、主として消費税に依拠するべきである。消費増税だけで十分な水準の基礎的財政黒字を確保するためには、消費税率の20~26%への引上げが必要と試算される(注8)。環境税の引上げ、個人所得税の課税ベースの拡大等も検討に値する。

(4)労働市場の改革:日本の伝統的な雇用制度は人生100年時代に適合せず、企業が定年年齢を60歳に設定する権利を廃止することは、雇用の拡大と生産性の向上につながるとともに、年功序列賃金の役割を低下させ、女性労働者に多大な恩恵をもたらす。年金支給開始年齢を65歳以上に引き上げるとともに、高齢者の雇用機会を拡大し、高齢者の貧困を減少させるべきである。

女性は、依然として雇用の障壁に直面し、指導的地位に占める割合も低い。新たな年間360時間の残業規制の厳格な運用(違反者への罰則の強化を含む)によるライフ・ワーク・バランスの改善、待機児童の減少が重要となる。労働市場の二重構造の打破のために、解雇に関する透明性の高いルールの設定、正規労働者の雇用保護を緩和するための包括的な戦略策定、被用者社会保険の加入対象の拡大、非正規労働者の訓練機会の拡充が重要であり、また、働き方改革における「同一労働・同一賃金」原則の適用を通じて年功序列の賃金カーブを平坦化させるべきである。

外国人労働者の役割の向上が不可欠であり、新たな在留資格の導入はその第一歩。教育を含め外国人が日本に順応する支援プログラムを提供すべきである。

(5)生産性の向上:日本の労働生産性はOECD加盟国の上位半数と比べて4分の1以上低い。鍵を握る分野の一つはコーポレート・ガバナンス改革。これを通じて企業が保有する多額の現金が設備投資や賃金へと振り向けられる可能性がある。また、大企業と中小企業の間には国際的に見て大きな生産性格差(製造業で2.5倍)が存在するが、その是正は包摂的成長の実現に不可欠である。中小企業に対する債務保証の更なる縮小、起業家精神の促進等が重要である。

(6)環境:環境を改善し、気候変動を抑えることにより幸福度が向上する。CO2排出量の減少や大気汚染の改善のため、再生可能エネルギーの使用拡大、炭素価格の段階的な引上げ等に取り組むべきだ。

おわりに

以上、国別審査報告書の概要を提供した上で、2019年対日経済審査報告書の構成及びポイントを概説した。ここからも明らかなように、本報告書は、マクロ経済情勢に係る展望にとどまらず、環境や教育、雇用条件など国民一人ひとりの暮らしに関する幅広い政策領域における実証分析に基づく政策提言が満載である。これが、OECDが伝統的に、軍事と文化以外ならすべて扱う間口の広い「世界最大のシンクタンク」といわれる所以である(注9)。

名宛人である我々が、これをどう有効に活かすかは、引き続き大きな課題である。一般的に、欧米諸国には、OECDを筆頭に国際機関やシンクタンクが公共的な議論の土壌に根づき、これらの業績を栄養分として政策や経営の枝葉を繁らせている。これと比較し、日本において、OECDの活動は十分に活用されているとはいえない(注10)。国別経済審査は、審査対象が経済社会の多岐に亘り包括的であるという内容面、加盟国の相互審査(ピア・レビュー)を経るという手法面、そして、被審査国当局を名宛人とすることで政策改善・制度改革を促すという効果面において、OECDという国際機関の特徴が集約されており、これを公共政策作りに活用しない手はない。1年の半分を海外出張に費やすとされるグリア氏は、「社長兼広報部長兼営業部長」と自他ともに認めるほど、OECDの業績普及及び認知度向上に精力的である。本年も、1964年(東京五輪の年)以来OECD加盟国である日本が、高齢化やデジタル化という趨勢の中で経済社会が転換点を迎える中、毎年春恒例の同氏訪日は、OECDの各種業績に定期的に目を向ける格好の機会であることを実感した。

末尾に、執筆者の一人であるランダル・ジョーンズ(Mr. Randall Sidney Jones)国別審査局日本・韓国課長が本報告書を最後に引退する。30年間で15回、対日経済審査を担当し、日本を定点観測してきた。2015年、氏の長年の功績に対し、旭日小綬章が叙勲された(注11)。敬虔なモルモン教徒で、筑波大学に留学し、日本の国民と社会・文化をこよなく愛する米国人のジョーンズ課長。パリ郊外にある御自宅に招かれた際に愛妻ジョディさんが焼いてくれたパイの味が忘れられない。ここに改めてジョーンズ氏の日本への友情に感謝を捧げたい。

(本稿で述べられた意見や見解はすべて筆者個人によるものであり、筆者が所属する組織の立場を示すものではない。)

1. 訪日の概要については、外務省及びOECD事務局の各々のHPを参照。https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/oecd/page25_001902.html; https://www.oecd.org/japan/oecd-secretary-general-in-tokyo-on-15-16-april-2019.htm 
2. 本報告書の概要などは、本文(英語)とともに一部邦訳され、OECD事務局のHP(http://www.oecd.org/economy/surveys/japan-economic-snapshot)で閲覧に付されている。
3. 2019年4月15日日経オンライン記事。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43726640V10C19A4EAF000/ 
4. 経済開発検討委員会は、OECD条約第1条の目的規定のうちの一つ、すなわち「財政金融上の安定を維持しつつ、出来る限り高度の経済と雇用、生活水準の向上の達成を図り、世界経済の発展に貢献すること(同条(a)項)」を達成するために、設立当初から活動する最も伝統ある「花形」の委員会の一つである。これに対応するOECD事務局の経済総局・国別審査局が起草した本報告書の原案は、2019年3月4日に同委員会の議論・審査にかけられ、そこでの議論を踏まえ改訂され、同年4月2日に同委員会で承認された。
5. 対日経済審査報告書2017年版は、次のOECDのサイトで閲覧可能。https://read.oecd-ilibrary.org/economics/oecd-economic-surveys-japan-2017_eco_surveys-jpn-2017-en#page173
6. 2018年4月に公表された政策提言集の概略については、拙稿「刮目すべきデジタル化への提言:OECDの診断書と処方箋(世界経済評論インパクト2018年4月9日掲載)」を参照。http://www.world-economic-review.jp/impact/article1049.html 
7. 例えば、「包摂的成長に向けた生産性の加速」という見出しの一項目で、「女性に対する教育、訓練、金融の利用可能性を高め、起業を促進すべきである」とした過去の提言が、日本政策金融公庫が、起業後7年程度以内の女性、35歳以下又は55歳以上の起業家に対する貸し付けに適用する優遇金利で実行に移されたと評価している。「経済成長の下支え」との関連で、最低賃金を引き上げるべし、サービス残業を減少させるべしとした提言が、「2018年に最低賃金の全国加重平均が3.1%引き上げられ」、「2017年に労働基準監督署が1,870社のサービス残業を是正し、20万5,235人の労働者に446億円の残業手当が支払われた」としている。
8. 本報告書は、試算の詳細を以下のとおり説明する。すなわち、公的社会支出が日本政府の推計に沿って増大する一方、他の支出はGDP比で一定と仮定した上で、①2025年度以降更なる財政健全化が行われない場合には、債務比率は2060年までに560%程度にまで高まる、②これに対し、2026年から2035年にかけて基礎的財政黒字をGDP比5%程度にまで高める場合は、2060年の債務比率は150%程度にまで低下し、このときの財政収支改善幅が、消費税率を10年間で10%引き上げることに相当するとし、20%への漸進的な引上げが必要と分析。続けて、それでも欧州連合(EU)各国の平均である22%よりもまだ低いとする。さらに、仮に上記試算で仮定した2025年度以降の緊縮財政が2036年~45年に遅れた場合には、必要な収支改善幅は、GDP比5%ではすまず8.1%になると試算し、財政引き締めの遅れのツケは確実に後で回ってくると警鐘を鳴らしている。
9. 他方、OECDは、2005年に就任し現在3期目にあるグリア事務総長の強力な指導力の下、従来の「先進国クラブ」による単なる「シンクタンク」から機能進化し、加盟国拡大や非加盟国への関与強化、分野横断的政策テーマへの取組、国際基準の策定機能(「グローバル・スタンダード・セッター」)の強化等を通じ、国際ガバナンスにおける有用性や正統性を向上させようと必死である。これら動向や課題につき、拙稿「OECDはどこに:国際機関の自己刷新((世界経済評論インパクト2018年10月1日掲載)」(http://www.world-economic-review.jp/impact/article1167.html)、「戦略的岐路に立つOECD、グローバリズムの苦悩と挑戦:2017年閣僚理事会の概要と意義」財務省『ファイナンス』第53巻4号(2017年7月https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201707/201707g.pdf)及び同第53巻5号(2017年8月https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201708/201708f.pdf)等を参照。
10. OECDの各種業績を日本国内の公共政策を巡る議論に役立てようと呼びかける拙稿(毎日新聞2017年8月8日付朝刊「発言」欄「『豊かさ』の本質は自己実現」)を参照。https://mainichi.jp/articles/20170808/ddm/004/070/005000c 
11. 同課長の叙勲の模様は、OECD日本政府代表部HPを参照。 https://www.oecd.emb-japan.go.jp/news/M_RandallJones.html